体験:体が経験をすること

文字情報からだけでは得ることができないものが沢山ある。この世の全てのことは本やインターネットに上にあるように錯覚しているが、本やインターネットにないものは世界中にあふれている。

人の話を文字で読むのと、動画で観るのと、直接会うのでは感じ方が違う。百聞は一見にしかずというが、それこそ、文字=1、動画=10、人に会う=100、くらいの違いがある。

泳ぎ方の本を読んでも泳げないように、文字情報からだけでは得られないものが沢山ある。この世の中には文字にも動画にもされていないものが沢山ある。それは自分で「外」に出かけて感じなくてはいけない。

ニューヨークブロードウェイの会場に入った瞬間の雰囲気を文字や写真や動画で伝えるのは難しい。あの長い歴史の積み重ねによって醸し出される雰囲気は直接行かなければ感じることができない。

そういう体験をいくつ重ねることができるかが幸せであるかを決める。

体験とは、「体」が「経験」することである。「経験」も直接体を使ってすることが必要。

これを踏まえると、やはり、体は鍛えなくてはいけない。

体を使ったエンターテイメント

21世紀は体を使ったエンターテイメントの時代になる。近年野外フェスが盛り上がりを見せているが、自然の中で最先端のテクノロジーを用いて音楽を楽しむというスタイルは時代の遊び方を象徴している。モバイルテクノロジーが進化したおかげで、人々は簡単に外に出れるようになった。今まではトランクいっぱいに詰めなければならなかったものが、今はスマホ一つで出かけられる。

また、情報革命により、人間が接する情報が爆発的に増えた。マラソンブームなど体を動かす人が多いのもその反動だと思う。体を使うということが21世紀のキーワードである。

エンターテイメントも体を使ったものがどんどん増えていくと思う。

体を使った情報収集

情報を入手するために一番いいのは直接人に話を聞きに行くこと。業界トップの人を見つけてその人に話を聞きに行くこと。学会に参加して、その業界のキーマンから話を聞きに行くこと。情報収集も体を使って行うことが大切。本やネットの情報を得ることはAIでもできるが、直接人に取材して話を聞くことは人間にしかできない。今後AIが人間の仕事を奪っていくが、AIにはできない「体を使った行動」をすることにより、人間にしかできない仕事をすることができる。

マインドフルとマインドレス

習慣化したいことを1つ決める。それはなんなく達成できる。

2つめに習慣化したいことを決める。それもなんなく達成できる。

3つめに習慣化したいことを決める。だんだんしんどくなってくる。

4つめに習慣化したいことを決める。かなりしんどくなってくる。

5つめに習慣化したいことを決めたときに、全てのことが嫌になり、今までの習慣も全て止めてしまう。

人間の精神のエネルギーは限られている。意識して新しいことを習慣化することは精神的なエネルギーを使う。マインドフルな状態になっている。しかし、一日中マインドフルな状態でいることはできない。人間には無意識に行動する、適当に行動する、マインドレスな状態が必要である。

人間にマインドレスな状態が必要なのは、マインドフルな状態では全ての情報を裁ききれないからである。マインドフルな状態は目の前の1点に集中しているため、日々の全ての情報を裁ききることはできないが、マインドレスな状態は自動的にそれらを裁いてくれる。そして、マインドレスな状態でいるとき精神のエネルギーは回復する。

つまり、マインドフルな状態とマインドレスな状態を組み合わせることにより、上手に習慣化できることを増やしていける。

優れた物語

優れた物語には全て法則がある。それは、「旅立ち」→「修行」→「帰還」である。世界中の神話の多くはこの流れにそって物語が創られている。また、現代の優れた物語の代表であるスター・ウォーズロード・オブ・ザ・リングスティーブ・ジョブズにもこの法則を当てはめることができる。したがって、優れた物語の主人公になるためには、まず「旅立つ」ことが必要である。学校を辞める、会社を辞める、日本を出るなど、人それぞれの「旅たち」をすることにより、伝説となる物語を創ることができる。

テクノロジー、便利さについて

テクノロジーは人を幸せにする。Kindleによっていつでもどこでも読みたい本を読むことができる、Google Mapによって迷わずに最短で目的地までたどり着くことができる、Trip Advisorによって旅先で素晴らしい体験をすることができる。

しかし、テクノロジーがなくても生活することはできる。掃除機、洗濯機、炊飯器、電子レンジ、エアコンがなくても生活している人はいる。むしろそれらを手放すことにより、人間本来の力を生かし、人間本来の喜びを感じ、お金に縛られずに生きている人もいる。

便利さは人間の直観力を鈍くさせるのは間違いない。しかし、便利さは人間に楽しい体験をさせてくれるのも間違いない。

電通戦略十訓

電通戦略十訓というものがある。

 1 もっと使わせろ
 2 捨てさせろ
 3 無駄使いさせろ
 4 季節を忘れさせろ
  5 贈り物をさせろ
 6 組み合わせで買わせろ
 7 きっかけを投じろ
 8 流行遅れにさせろ
 9 気安く買わせろ
10 混乱をつくり出せ

私たちは欲望さえ大きくさせなければ、必要以上に働かなくていい。必要以上のものを消費するために、必要以上に働いている。欲望の大部分はマスメディア、広告代理店によって作られる。上の電通の標語は、まさに日本人の欲望を必要以上に駆り立て、狂わせるメッセージそのものである。この欲望の螺旋階段から降りることが、必要以上に働くことから逃れるための一歩である。